『社員まるごと人材開発』②
前回ブログに続き、人材派遣会社Xが支援を求めてきた障害者の就労促進という新規プロジェクトです。社員の啓発をどのように行ったか、パートナーシップ・コンサルタンツが行ったディレクションをご紹介します。
必要なことは疑似体験
高齢者の介護サービスや障害者への福祉サービスを担当する人は、その分野に秀でた人材であるばかりでなく、サービスの対象者にシンパシーを感じる人格を持つことが必要です。
ところが、たとえ厚生労働省の福祉部局であっても、そこで働く職員の全てに実体験があるわけではなく、皆が高齢者や障害のある方々に共感できるとは限りません。
だからこそ、介護や障害者福祉を担う多くの公務員にとって学びは重要であり、想像力を働かせて対象者を理解する態度が求められます。
ましてや営利企業であるX社が、公的サービスの対象である『障害者の雇用』をターゲットとするプロジェクトに取り組むのです。
今回の支援の依頼を受けた時、X社は、障害者の日常とサービスの実態を知ったうえで、新しい事業に取り組むべきと考えました。
何よりも必要なことは、『我が事』として障害者を捉えること。そして、短期に効果的に知識と経験を積むこと。
そのために取ったのが、疑似体験という即効性の成果を狙った手法『インタビュー』でした。
キーパーソンへのインタビュー
この疑似体験には、次のような効果があります。
障害者本人と家族が活動しサービスを受けている現場を知り、サービスの受け手と提供者の双方と対話するという、多くの企業にとっての非日常を体験することができます。
最も重要な効果は、そのことによって、障害者を客観的に見ていた自分から離れ、障害者を取り巻くコミュニティの一員となる心理的な効果を得られるのです。
X社の希望と意向を踏まえながら、パートナーシップコンサルタンツが人選していきます。
社長をはじめとするプロジェクトに関わる社員の皆さんには、障害者支援業界を代表するような人に会っていただきたい。
下準備として、いわゆる障害者福祉業界のトップリーダーとも言える方に接触し、人選について助言を受けました。
そのうえで、まず露払いとして、かつて行政組織で障害者福祉部門の責任者を務めていた私から、課題の概観をお話ししました。
次に、現職の行政責任者から、行政サイドの目から見た今日的な様々な課題をお話しする機会をコーディネートしました。
行政上の課題が把握でき、いよいよ現場を知り当事者に会う準備は整いました。
さあ3者連続インタビュー開始です!(👉次号③につづく)