『社員まるごと人材開発』③
障害者の就労促進を新規プロジェクトに掲げ支援を求めてきた人材派遣会社X。その支援策に業界キーパーソンへのインタビューをセットしたパートナーシップ・コンサルタンツ。インタビューを重ね成長していくX社の様子をご紹介します。
社会福祉法人からのエール
まず訪問先に選んだ社会福祉法人は、障害を持つ児童への福祉サービスを総合的に提供する公立施設の指定管理者です。X社が精神障害者の就労促進を新規事業化すると伺ったとき、真っ先に訪問すべきと考えた社会福祉法人でした。
その理由は、精神障害者が育った環境を知ることは、現実に即したサービスを開発する上で不可欠な学びであるからです。
インタビューのターゲットは障害児童の発達支援を司るセンターの施設長です。障害者福祉業界を長く経験し、三障害を熟知、乳幼児、児童生徒、青少年、成人、高齢者を問わない対応経験がかわれて、障害児童育成の現場の総責任者となったカリスマです。
施設を見学させていただき、その上で意見交換の時間をいただきました。自治体と法人経営層との板挟みとなり、悩みに悩んだ当初10年が経過して初めてユーザー(ご本人、家族)本位で行動する腹が座ったと施設長がしみじみ語られました。一人ひとり個性が違うからスタンダードはなく、やってみなければわからないことだらけだし、最初から全て平穏にできるなどと思わないことだとアドバイスもありました。
そして、精神障害者の雇用環境は厳しいため、応援するのでなんでも相談してほしいと、X社へのエールを頂戴し施設を後にしました。
多様なインタビュー敢行
こののち、多彩な分野のキーパーソンにアポを取り、X社にアテンドして訪問を重ねました。
以下にその一例を挙げますと、
・自治体の財政支援のもとで3障害者の採用と就労促進を担うNPO法人
・ビル屋上で障害者と共に緑化と米の収穫に取り組む大手ディベロッパー
・人事部門主導で障害者を積極採用している文化出版系中堅企業などなど
各担当者及び幹部の皆様には、この場を借りて御礼申し上げます。
この連続インタビューによって、知見を惜しみなく提供いただいたおかげで、X社は多くの疑似体験を重ねることが出来たのです。
おかげさまで、X社の新規事業開発は順調に進み、就労率の低い企業へ営業をかけるための現実的な商品開発に漕ぎ着けるまでに至りました。
ゴッドマザーの洗礼
インタビューの最終は、生まれながらの障害を持ったお子様を授かったことから障がい者支援団体を立ち上げた障害者福祉界のゴッドマザーをお尋ねしました。
ご本人のお子様は40代前後で他界されていますが、その後も長く活動を続けておられます。障がい者どうしの相互扶助にとどまらず、国、自治体への要請行動、企業への働きかけなど、障害者の社会的地位の向上に身を捧げてこられた障害者福祉の生き証人とも言える方です。
いつもどおり、私が両者を紹介するところからインタビュー開始。
しかし今回ばかりは、私がお連れした方々の真意を測りかねていたマザーと、大物の風格に気圧されたX社との間に、微妙な呼吸の違いが生まれなかなか言葉のやりとりがうまくいきませんでした。
30分くらいたってX社の本気度と誠意が伝わり、立板に水のマザー語りが始まります。
それからおよそ3時間。障がい者が置かれてきた状況と困難を開拓してきた熱意、そして何よりも関わっている人が課題を乗り越える時の鍵であることを様々な事例とともにお聞かせいただきました。
X社にとって、目指してきた精神障害者の雇用を支える新たな取り組みに対して、背中を押していただく大きな体験となったことは間違いありません。
コーディネートはこうでねえと
今回ご紹介の案件は、X社が取り組む分野の知識と経験に欠けていた点を補完し、新規事業の開発へ繋いだ最近の取り組み事例でした。
このように、パートナーシップ・コンサルタンツの事業者支援の取り組みは、自治体ビジネスの契約獲得だけにとどまりません。
様々な企業、法人様が抱える課題を乗り越える必要な知識情報を習得していただくため、まずは幅広い人脈と独自の知見から、ご希望に沿った適切な人選と事業者の選択を行いご提案いたします。
そして、お引き合わせのアレンジ、インタビューの設定、共同作業への誘導、共創的な取り組みのご提案まで、官業での総合調整役の経験を活かして効果的にコーディネートさせていただきます。