『組織経営に必要なココロ』

今回はグッと小難しく組織です。公務の経験から得た私なりの知見ですが、官民を越えて通用する組織経営の心のあり方についてお話しします。

本稿は、経営層や管理監督層の能力開発に通じるので、『公務の時代』と『人材開発』にまたがるカテゴリーとしました。

貴重な経験値・組織経営

社会人の誰もが組織経営を経験したことがあるわけではありません。

例えば、会社で管理職や経営者ではない人は、組織に所属はしていても、組織を運営した経験はありません。

また、家庭にいた人が起業する場合や、学校を卒業してすぐに会社をおこす場合も、組織を作ること自体が初めての経験です。

「家族は最初の社会である」とよく言われますが、家庭や家族が最初の組織かというとそうではありませんね。

組織を自分の手で動かすということは、このように社会では貴重な経験です。今回は、現在組織を運営している方はもちろん、これから組織経営に携わる方にも、是非お読みいただきたいと考えています。

組織経営ことはじめ

局長!こんなんじゃ、やってられないですよ!

2001年4月、管理職に昇任した私は、ある公益団体の代表者に就任しました。

団体の収支経理、税務、社会保険、労務管理、事業企画、営業など全ての組織経営を担いました。

忘れもしない就任初日、いきなり部下からの体制批判が始まった朝礼。前途は実に多難に思えたものです。

前任者によほどの問題があったのかと疑わざるを得ない印象深い組織経営の第一歩でした。

朝礼後に他の部下が、「◯◯さんはいつもああなんです。気にすることないですよ。」と擦り寄ります。しかし、私は、自分で見聞きしたことから心象を形成していくことを常としていました

助言は助言として、批判分子とは別室で二人、時間を費やしてとことん話し合い、不満を感じてきた出来事や本当の欲求などを理解しました。

悩みも多き組織経営ことはじめでした

職員に様々なクセはあっても、制度やルールに縛られない団体の業務が日に日に好きになります。

私は日を追うごとに自由な雰囲気に満ちたこの組織に馴染んでいきました。

3か月が過ぎる頃には、概ねその団体での課題を軌道に乗せました。

部下たちや外部からの信頼も得て、さあこれからハジけるか!

…と、組織経営第一歩、気分はアゲアゲでした。

最も望まない組織への転勤

7月16日、私はわずか3か月半で、本庁の介護分野の責任者(介護保険課長)への転勤を命ぜられ、部下40人という自治体組織の中でも大規模な課を任せられました。

当時はまだ介護保険制度は成熟していない制度だった

国の制度の枠を越えられない介護保険制度。制約だらけの組織の運営に、自由が好きな私のメンタルは崩壊しそうです。

毎日のように、ベテラン職員が制度の制約や問題点を指摘し、私を試したり、意欲を削ごうとしてきます。

しかし、負けてはならないのはこういう時です。構成員との対話という組織経営の鉄則に背を向ければ、部下の信頼を得ることはできません

やはりここでも、私は徹底して批判的な姿勢を見せる職員の心を探りつづけました。彼ら、彼女らの意図はどこにあるのかを探り、介護保険制度に対するシニカルなスタンスが前面に出ていることを突き止めました。

組織経営で得られた核心部分

介護保険制度の組織には1年9ヶ月在籍し、多くの改革と改善に道筋をつけました。

その後の転勤では、6年にわたり政策と計画立案を担当する課長を務めたのち部長に昇進。退職するまでに5つの部門を任され、同時に二つのエリアで責任者を兼務しました。

いずれの組織経営も一つとして簡単なものはなく、決して一人では成し遂げられない多くの成果をその時々の部下と共に達成してきました。

他者こそがこの私を変えてくれる!

全てに共通して必要だった組織経営の核心部分は、次の言葉に凝縮されるものです。

『他人(部下)は自分(私)でないからこそ重要な存在』 この一言に尽きます。

二つの組織経営ことはじめでは、いずれも部下と対話したエピソードを披露しました。

この象徴的な出来事は、苦しかった当時を思い出させますが、他者尊重を気づかせてくれたターニングポイントとなる経験でした。今も、部下をないがしろにしないで本当に良かったと思っています。

自分を超えるために

皆さんはこんなことを思うことはないでしょうか?

「自分だったらこんなヘマはしなかったのに」 「自分ならこうできたのに」 果ては「自分がもっといればいいのに」

孫悟空じゃあるまいし、分身の術はご法度❗️

仕事のできる人ほど、こうした感情を抱きがちです。しかし、そこには大きな過ちが横たわっています。

『自分を超えられるのは他人でしかない。なぜなら自分は自分に過ぎないからだ。』

自分という限界を超えるために、他者の声に耳を傾ける謙虚さと冷静さと勇気を持つ必要性をお話ししています。

これは、チームは大事だとか、みんなの力を結集するとか、そういった精神論的な話ではありません。

自分は、部下よりもまさっていると考える経営層、管理監督層は多いものです。確かに組織経営には、自負心や自尊心、自信を持つことは不可欠でしょう。

私でないからこそ尊重されるべき貴方という存在

しかし、それは自分の視点で自分の常識の範囲で自分の発想の中で、部下よりまさっているに過ぎません。

その考えに囚われている限り、いつまでたっても自分を超えることは出来ません。

立ち止まって胸襟を開き、部下の声に耳を傾ける度量の広さがあれば、簡単に今の自分を超えることができるのです。

さて今回は、組織経営における核心部分、他者の尊重についてお話ししました。

パートナーシップ・コンサルタンツは、各団体、法人、企業の経営層、管理監督層の皆様に、組織経営に携わる心得についても講演などを通じてご提供します。ぜひ、人材開発の一環としてご活用ください‼️

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