『メンタル危険水域!』(解決編)
前回、メンタルケアの危険水域を超えた日本の状況を『背景編』として考察しました。
2回シリーズの後編は、どうすればメンタルケア社員を生まない体質を獲得できるのかについてお話しします。
あなたに与えられるのは、部下を指導する3つの場面。
さあ、今回も学びをはじめましょう。 メンタルケア社員を生まない職場管理に向けて、Let’s Begin‼️
①最悪な災厄『マイクロマネジメント』(管理監督の場)
してはならないマネジメント、リーダーシップの典型、それが『マイクロマネジメント』です。
いまどき信じられないことですが、手取り足取りの指導を自分の役割と勘違いしている管理職がいます。
そんな管理職でも、ときおり一時的に成果を上げてしまうことがあって、勘違いした経営層からウケが良くなる奇妙な偶然はありますが、間違いなしのNGマネジメント。
微に入り細に入りの密着指導は、部下の自主性、主体性や意欲、創造性を抑圧し、人権侵害にも相当する百害あって一利なき管理手法です。
部下は人格が否定され、主体性が認められないため、メンタルを病む大きなきっかけとなります。
業績が上がらない場合、苛立つ管理職がさらに介入…生産性が低下の一途をたどる悪循環をまねきます。
支配と抑圧の上に成り立ち職場全体のパフォーマンスを低下させるマイクロマネジメントは、こうして部下の精神をむしばみ、病気休業という最悪の結果を招くのです。
経営層、管理監督層である皆さんがとるべき管理行動はたった一つ。マイクロマネジメントを止めることです。
部下を信じて任せ、経過観察によって進行管理を行うマネジメント手法に舵を切りましょう。そう、管理職には、他にやるべきもっと重要なことがあるのですから!
② 競わせるより率いさせる(人材開発の場)
組織の一員という美しい日本語がありますが、ここで学ぶべきことは、『組織の一員からの旅立ち』です。
自分は One of Them に過ぎないと思っている人に、そこからの離脱を誘発することは、組織の成熟ばかりか、本人のメンタル強化につながります。
前々回の学びのとおり、『自分ではないことにこそ神は宿る』のです。自分とは異なる人材を育てましょう。
ここでもやることは簡単。職場の中で実行可能な小さなプロジェクトを設定します。職場の美化とか、事務用品の節約とか、どんなことでも結構ですから簡単で身近なことを。
あとはリーダーを決めてプロジェクトの目標をチームで達成させるだけ。チームの一員は競い合いを旨としますが、リーダーにはチームを統率することが求められます。
リーダーにメンバーの様子を観察させ、各メンバーの進行状況を報告させましょう。その過程を通じて、自分だけでなくコ・ワーカーの進行管理とメンタルヘルスケアも自然に体得させます。
小なりといえども組織を率いたという自信をもたせ、思いもかけない自分の能力に気づかせるうってつけのOJT。部下の精神力の強化につながることうけあいです!
③ 達成と自己肯定(実現と評価の場)
「上司が自分を気にかけてくれている」「自分は上司から信頼されている」部下からそう思われている管理職のもとでは、メンタルケアが必要な社員は出現しません。
それは、既にメンタルケアに配慮した姿勢を自らの言動によって部下に示せているからです。
部下への姿勢が、ハッキリ現れやすい次の3つの場面ごとに考察します。
❶業績目標の設定と評価のとき、❷業績不振のとき、そして❸目標を達成したときの3つです。
❶ 業績目標は、部下と話し合いによって設定します。評価についても、本人の自己評価を事前に聞き管理職が決定します。年に1回のようにルーティン化せず、臨機応変かつ積極的に行いましょう。
❷ 目標が達成できない時ほど、部下は管理職の目が気になるもの。そんな時こそ Man to Man の声かけです。ねぎらい、助言し、情報を共有しながら軌道修正します。頭ごなしの決めつけは禁物。特にスタッフの前での指摘は厳禁です。危機を脱した時には、みんなの前で労いましょう。
❸ 業績を上げた時には、何をおいてもその成果を褒め、管理職が部下に直接感謝の気持ちを伝えます。チームで共有し、時には本人からスタッフの前で披露させます。達成感を経験させ、自らの成果に誇りを感じさせましょう。
いずれのシーンでも、表現の仕方や態度によって効果は全く異なってきます。肝心なことは、部下の立場を尊重しながら、その成長につながるように行動すること。管理監督者や経営者の心が表れる場面でもあり、日頃から自分を律し意識して行動することが大切です。
今回の結び
誰もが一度は感じたことのある疑問ではないでしょうか。
どうして上司は、言いたい放題、やりたい放題の勝手気ままが許されるんだろう…
そんな上司からは、高い確率でメンタルケアを必要とする部下が生まれてきます。
今回は、メンタルケアを生まない管理監督のあり方を3つの視点から学びました。
社員のメンタルケアが不十分な組織経営は、経営者自身の評価にとどまらず、法人の評価をも低下させる重大事。
管理職も経営者の皆さんも、組織のマネジメントが、社員のメンタルヘルスを考慮している手法かどうか、改めて検証することをお勧めします。
パートナーシップ・コンサルタンツは、組織経営、職場管理、人材育成についても、皆様のアドバイザーとして活動いたします。職場の活性化や管理監督層の育成にお悩みの際は、ぜひご相談ください。有益な助言をお約束します!