『ワタシ 役所辞めます』 〜官業シリーズ ①
久しぶりの官業シリーズ。自治体や公務について、見たい聞きたい知りたい皆さまに、参考となる情報をお届けします。
今回は、私が4年前に役所を辞めたときの話です。役人は、どういうきっかけでどんなふうに辞めていくのか。さぁ、いってみましょう!
4年前は どんな日々を…
先日、冬季オリンピック北京大会(2022年2月現在)をテレビ観戦していた時でした。
『そういえば前回大会は2018年か。ピョンチャンとかいうウサギさんみたいな名前の開催地だったなあ。。。』
などと、4年前の感慨に浸っていて… アレッ?
一部の競技の記憶が抜け落ちていることに気づいたのです。 スポーツ好きの私にしては珍しく。
日本代表のシャツに着替えて、仕事そっちのけで応援したりするこの私が、なんでだろ? …思い起こしてみました。
2018年韓国・平昌大会は、羽生結弦の連覇やザギトワとメドベージェワのハイレベルな闘い、金メダルを取った小平奈緒が連覇を逃した韓国選手を抱きしめた場面など、五輪史に残るシーンを良く覚えています。
でも、スノーボードとかハーフパイプとか、ぜんぜん記憶にござんせん。
そのころ超絶に忙しかった私。
冬季オリンピック直後の3月31日に、37年勤務した公務の世界からキレイさっぱり足を洗うことにしていたからです。
官業から足を洗う直前の日々
先人の言葉にあるとおり、『立つ鳥跡を濁さず』と申します。
退職を目前に、予算編成は最終段階に入り、新年度予算の議会審議も控えていました。
加えて、私は4月からの転職先企業への入社準備も同時進行中。さらに夫婦で長期外遊を画策、4月3日から1か月にわたるパリ滞在も目前。
2018年3月31日へ向かって私の生活はアクセル全開。まさに公私ともども超多忙な日々に直面していたのです。
そもそも どうして辞めたのか
60歳定年制とはいえ、4年前の特別区(東京23区)には、今よりも優遇された再任用制度が存在していました。
いったん退職しても、同じ職層で、つまり部長は部長、課長は課長のまま継続すること(給与は7割程度に減額される)が可能でした。
そうした制度を知っている方も多く、「どうして辞めるのか」と方々から聞かれたものです。
中には「上司が嫌いなのか」などと際どい質問をしてくる方もいました。私が勤務した自治体の部長クラスになると、その『上司』に当たる方は3人しかいません。
本当にそうだとしても(w)否定するしかないではありませんか(www)。 ⚠️「(w)」は(笑)を表す。
冗談はともかく、私はだいぶ前から具体的に転職を考えていたのです。
退職から2年前の夏でした。これまで担当したことのない分野の企業から、いわゆるヘッドハンティングを受けたのです。
提示された給与水準は、行政に残る場合と比べて同等以上。期待された役割は、組織やシステムの改革改善と確立です。
公務をやり遂げたと感じていた私、新しもの好きの私、繰り返しが嫌いな私、新しいことに挑戦したいと思っていた私…
迷うことなく、私が企業への転職を選択したのは、こういう自分だったからです。行政に残りたいと思うことはありませんでした。
その後の私
こうして私は、2018年4月に転職を果たしました。
複数の子会社を取りまとめるホールディングスで社長室長に就任し、他の部門の部長と協力関係を築き、多くの社員と交流しながら、苦労はあってもやりがいを感じて役割を果たす順調な滑り出しでした。
就任2か月、ホールディングスがハゲタカに見舞われる事態に陥ります。6月下旬の株主総会で私を呼んでくれた社長が否決され退任。
私は新体制から引き留められ、しばらく社長室長を続けはしたものの、自分の気持ちに正直に向き合い、会社から離れることを決断しました。
短い期間でしたが、組織やシステムや社員などは、官業に近い点も異なる点もあることを直に知ることができました。
官業しか経験のなかった私が、企業で活躍できることも確信することができました。
今、こうして企業を中心にコンサルティング、コーディネート、ネゴシエーションを展開できているのは、この数か月の経験値があったればこそと感じています。
私だからこそできることを
私のように、いち自治体の職員が、官から民へと条件の良いお話をいただくなど稀なことでしょう。
そして、多くの会社員がそうであるように、公務員もセカンドキャリアを探しあぐねていると感じます。
公務員を退職した後も、身につけた知見を社会のために活かす=公務員のセカンドキャリア、その道を拓くことは、官民を経験した私に課せられた使命だと、最近になって感じるようになりました。
これからも私は、企業、法人、団体を地方自治体へつなぎ・むすび・いかすコンサルタントとして活動しながら、この新しい役割についても取り組んでいきたい そう思ってます。
名づけて、『パブリック・セカンドキャリア・ソリューションズ』(仮称)。
その道は遠くても、いつか実現したい私の新しい目標です。
みなさんのご理解とご協力をいただければ幸いです。