『都市伝説;公務員は働かない?』 〜官業シリーズ ④

地方自治体や公務員と仕事をする皆様へ有益な情報をお届けする官業シリーズ第4弾です。

今回は、有名な都市伝説『公務員ほど楽な仕事はない』について。37年間、地方自治体の中にいて内情を熟知しているからこそお話しできる本当の公務員の姿です。じっくりご覧ください。

休暇が多い

休みは家族と過ごしたいものですが…

確かに休暇取得を認めず長時間勤務を強いても平気な社風の企業に比べれば、地方自治体は格段に休みを取りやすい業態と言えるかも知れません。

しかし、法を守る立場の行政が労働基準法、地方公務員法を守るのは当たり前のことです。

官民双方に身を置いた経験からすると、働き方改革に取り組み、法を守っている職場では、公務員と会社員に大きな差はありません。(官業でも酷い所はあるがそれは別の話)

むしろ知られていないことは、忙しい職場になると、公務員も休みづらいどころか、休めないことがおうおうにしてあることです。

土日出勤も普通にあります。その代休をとろうとしても、平日は会議や資料づくりや仕事の締め切りに追われて休みようがありません。

庁内ではよく「あの係(課)はブラックだから行きたくない」「あそこで働くとメンタルになる」などと、公然と噂にのぼります。

勤務時間が短い

こんな明るい時間に帰るのは久しぶりだな❗️

また、公務員は勤務時間がナインtoファイブ(9〜17時)だから皆んな早く帰れるというのも常識のウソのたぐいです。

私の在職した自治体では、8時半から17時15分という条例で定められた時間があります。

市民への窓口を持つ職場では、毎日窓口オープンに備え朝8時前に出勤し、8時半から窓口を開け、17時過ぎまで接客対応します。19時まで残務を整理できれば早いほう。遅くなってタクシーで帰宅のような日はザラです。

働いている市民の皆さんに配慮し、「窓口17時まで」を延長。18時まで、19時までのように遅くまで開ける日が増えています。銀行も証券会社も旅行代理店もそこまでしませんよね。

いまや、自治体の窓口は市民サービスのために、長時間にわたり窓口を開ける、官業のコンビニエンスストアです。

カウンター業務は正確さと迅速さが求められる本当に厳しい仕事‼️

なお、私は37年間の在職中、窓口業務に従事したことはありませんでした。企画・計画、改革・改善、制度管理、秘書、予算・決算、法規の制定・改廃などの職場をわたりあるく職業人生でした。

新人時代をのぞくと、条例で定められた17:15の定刻に帰宅することは、ほとんどありませんでした。そして、管理職になってからも、勤務時間はさらに長くなる傾向となり、休暇もより一層とりづらくなっていきました。

都市伝説が生まれた背景(私見)

こうした休暇と勤務時間に関わる都市伝説と現実とのギャップは、どうして生まれたのでしょうか。

今回お話しした都市伝説には、過去の事実(かなり昔の記臆)が怨念のように残り、さまよっている…それが原因と考えられます。

東京大空襲後の街はこのような状況だったと聞きます

解き明かすには、恥ずかしながら、わが家の父子2世代つづいた公務員家庭の話をしなければなりません。

私の父は、終戦後の瓦礫の東京をサイドカーに乗せられ走り回った東京都建設局の職員でした。

1950年代前半、父は結婚して家庭を持ち、兄と私の二人の息子を得て四人家族となります。

私の記憶によれば、1960年代中ごろ、父は、宴席の日を除き、18時頃には家に帰っていました。都庁から家までは、およそ1時間かかるのにです。

今風に表現するとこんな感じ。。。猫でしたけど

つまり、父は17時頃、ヘタをすると16時台には都庁を出てまっすぐ帰宅していたと思われます。(父よ、許されよ!)

おかげで、母と幼かった兄と私は、一家団欒の夕食を毎日共にできました。

父は寝るのも早く、19時台には子どもと共に就寝。朝4時には起きて司法試験の勉強をしていました。

都庁で仕事をしながら試験に合格できたのは、緩やかな勤務への理解があったからではないかと思っています。(再び父よ、お許しを!)

こうした働き方が公務員の中に横行していたことは、戦後の日本を支えるためにがむしゃらに働く中小事業者、大規模企業にとって、非常にうらやましいことだったに違いありません。

あっ いいなあ、それ…

公務員の働き方は隣の芝生として青く見えた…そして官業批判が始まった…

おそらく、そんな勤務慣行上の大きな格差に対する感情が今も残って、そこに誇張も加味され、今のような都市伝説が定着した…そのように思います。

なお、条例を無視した勤務の慣行は、私が公務員になった頃(1981年)、まだ少し残っていました。

やがて1980年台の行政改革の時代を迎え、1990年台以降の行政監視型の地域政党の台頭とともに、公務員の緩い勤務慣行は前世紀の遺物と化し、法律と条例に沿った正しい勤務体制へ適正化していったのです。

皮肉なことに、緩やかな勤務慣行を捨てて法令遵守となった公務員は、時としてブラック産業と揶揄されるほどのハードワーク現場へと変貌していくのです。

では、公務員のブラック職場とはどのようなものか… それはまた、次の機会にお話ししましょう❗️

See you soon❣️

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