組織経営セミナー⑤できるリーダーは器量人

4回にわたった組織経営セミナー。第5回に入る前に、これまでのセミナーを簡単におさらいします。

組織経営シリーズ、面白かったでしょ⁉️

第1回では、人事異動で部下の心を奮い立たせる内示の話芸を、第2回では、問題あるスタッフの隠れた能力を引き出すコミュニケーション術を、第3回では、課題とスタッフに応じて体制を千変万化させることのできる組織理論を、第4回では、病める組織人たちの心を痛めないメンタリストのテクニックを、私の組織人生37年の経験をもとに解説しました。

いずれも、部下や同僚との関係にスポットを当ててきましたが、シリーズ第5回は、まず困った上司への対処法を通じて、リーダーの器量について考察していきます。

会議の場面も登場。臨場感に少しドキっとしてください。さあ、いってみましょう!

嫌な上司は受け流す?

この人は何となく人柄良さそうですが⋯

言葉がいちいち気に触る、態度も命令口調も嫌で仕方がない、人前で部下を罵倒、他者を尊重せず信用もしない etc ⋯ 長い組織人の職業生活では、不幸にもこういった傾向の上司と巡り会うことがあります。

いちいち対立していては周囲に迷惑がかかり、仕事の効率も低下します。私たちはこんな上司にどう接するべきでしょうか。

無難に済ませるなら『柳に風』と言われています。

柳に風とは、強く出てくる相手を軽く受け流すこと。次のように使います。「心ない言葉を浴びせられた時は、聞こえなかった振りをして、柳に風と受け流すのが得策だ」

しかし、上司から吹いて来るのが理不尽な「風」であるとき、「柳」のようにかわすだけで果たして良いものでしょうか?

ここでは、私が経験した会議での事例をご紹介し、上司と対等に向き合えるリーダーの器量について考察していきます。

会議での不毛なひと言

当時、私の直系ライン上には二人の上司がいました。二人とも私より何歳か年上、職歴も先輩。飲んだことはしばしばある間柄でした。

けっこう大人数の会議の場だったと記憶しています。私は、担当部門の事案を部下に指示して説明させていました。

こんな感じの会議室で起きた出来事でした

「コレ誰が決めたんだ?聞いてねえぞ」

説明の途中で、上司の一人が不満げに発言しました。案件の内容に関する議論ではなく、いわゆる『俺は聞いてない』的イチャモンです。

ある特定の世代では、あらかじめ根回しをしないと、会議での議論にすら応じない傾向があります。皆さんもご経験があると思います。

しかし『会議』とは、メンバーが忙しい時間をやりくりして集まり、多面的に議論して一気に課題を整理し意思形成につなげていく効率的で重要なシステムのはずです。

えっ?この後に及んで手続き論?何のための会議かわかってます?どこまで部下を信用しないのですか?一瞬ですが、私の頭には血が上りました。(血圧 230⁉︎ may be⋯)

『柳』も打ち返す

とはいえ会議の場は凍りついたままです。カッカしても始まりません。

こんな時こそ冷静にいきましょう。今は、こちらが大人になるときです。

特に、部下の心を痛めたり萎縮させてはリーダーとして失格です。私は問いに答えて口を開きました。

「課題の重要度と組織上の権限を考慮して、まずは私の段階で判断すべきと考え、部門の長として決定しました。その上で、この会議に案件として提起することにしましたが。」

上司からは「あぁ、そうか。」その一言で終わりました。

私の部下を痛めつけるのが目的?パワハラ的人材育成?正直な話、皆んな忙しいのに無意味な時間であり無駄な問答でした。

リーダーの器量

このあと会議は順調に進み、上司からの指摘や改善要請を聴取するという会議本来の目的を果たして終えました。理不尽に吹き荒れた上司からの風をしかと受け止め、打ち返して前へ進めることができたのです。

人格者のスピーチには多くの学びがある

ここで注意していただきたいのは、『柳に風』でその場を丸く収めるだけではリーダーとは言えないということです。

私は、礼儀正しく言葉を選びましたが、一歩も引くことのない決意をもって正当性を主張し、上司の言いがかりを受け流さず、柔らかく前向きに押し返しました

相手を問わず自信を持って切り返すことは、リーダーに不可欠の素養。このような事態に直面する可能性の高い組織のリーダーは、日頃から学びと実践を重ね、自覚と自信を身につける必要があります。

会議という戦場に、知識と経験に勝る鎧(よろい)はないのです。

『権限委譲』も器量です

前出の会議シーンを読み解くもう一つのポイントは、権限委譲の精神。つまり、自分よりも下位の職層へ権限を委ねることを厭わない(権限を一人で囲い込まない)器の大きさです。

組織の上位になればなるほど、管理すべき組織、人数、案件は増えていきます。全ての事案に自ら決定を下すことは極めて困難になります。求められて出席する多くの会議に際しても、あらかじめ一つひとつの課題を把握する時間は少なくなります。

リーダーからの権限委譲が進まない組織では、事案を判断する主体が一人に集中してしまうため、会議のための会議が繰り返され、多くの時間的機会(自由な発案、意見交換など)が失われていきます。その結果、スタッフの中に『柳に風』が横行したり、良い人材の育つチャンスが失われます。有能なリーダーほど、この罠にハマり抜け出せなくなります。

なんとも自由で民主的な雰囲気❣️

日々あたらしい課題に直面するリーダーにとって、効率的かつ効果的に課題を解決するシステムは何よりも重要。そのひとつが、権限委譲による判断階層の多層化です。

権限委譲に積極的なリーダーは、多くが民主的で、部下を注意深く観察しています。そして、自分に与えられている意思決定の権限を下位の者(部下)へ委ねることを常に意識しています。もちろん、部下に丸投げするのは無責任というもの。慎重に部下の力量を見極め、自ら部下に委ねて良い権限範囲かどうかを吟味して決断します。

部下への信頼の上に成り立つ権限委譲は、組織に活性化をもたらします。上司から権限を委ねられる部下は、その信頼を意気に感じ、より懸命にそして主体性をもって我がこととして業務に精励するのです。

リーダーを目指すならば、そんな組織を率いるリーダーになりましょう‼️

組織経営のカリスマに!

各層リーダーに器量人を配置すれば組織は盤石!

今回のセミナーでは、『柳に風』『権限委譲』を通じてリーダーの器量について学んできました。

第一の学びは、上司への対応姿勢です。本部長、部長、課長、グループ長などの別を問わず、組織経営にあたるリーダーには、必要な場面で必要なことを自己抑制せず上司に対して堂々と主張する器量が求められていることを学びました。

第二の学びは、部下への信頼に裏打ちされた『権限委譲』です。権限委譲型の意思形成は、権限を集中化した直線的でピンポイント的な意思決定方式に比べ、裾野が広く、より民主的で、開かれた議論や効率的で効果的な意思決定につながり、組織全体を活性化することを学びました。

さて、シリーズ『組織経営セミナー』は、いかがでしたか?

組織機構の中で、知識と経験を蓄え、自覚と自信を身にまとったリーダーほど頼りになる存在はありません。組織経営セミナーをお読みいただいた皆さんが、組織の中で輝かしい活躍をされ組織経営のカリスマになることを願ってやみません。

以上を私からの応援メッセージとして、ひとまず組織経営セミナー全5回のまとめとさせていただきます。次回からのブログもぜひお楽しみに❗️

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