辞め官コンサル❺ 🎼『共奏の未来へ―官民が響き合う社会のために』
社会はオーケストラのようなもの。
誰もがそれぞれ演奏する役割を担っている。3
そう語ったのは、イタリア人指揮者リッカルド・ムーティです。

社会がオーケストラだとすれば、その中で重要な役割を担う『官業』と『民業』も、それぞれの旋律を奏でながら同じステージに立つ演奏者と言えるでしょう。
官は秩序を奏で、民は創造を響かせる。どちらが欠けても、社会という楽曲は完成しません。

辞め官コンサルタントは、官民の力を効果的に引き出し、より豊かに響き合う“ハーモニー”を導く指揮者のような存在です。
めざすは、従来の官民連携や官民協働を越え、官と民が共に学び、響き合いながら未来を創り出す―「官民共奏社会」。
辞め官コンサルシリーズ最終回では、Co-Symphonists(共奏する主体)¹ が、公共の利益を軸につくり出す社会の姿 Symphonic Commons(共奏する公共)² を描いていきます。
🎷 “協奏”―官と民がともに奏でる音色
異なる旋律を奏でている官業と民業。官民は、それぞれの役割と使命を持ちながらも、同じ社会の中で生きています。

敢えて役割を単純化すると、官は秩序と公平を保つために制度を築き、民は創意と行動で新しい価値を創り出す存在。その立場の違いが、時にすれ違いを生み、時に調和をもたらします。
かつての「官民連携」「官民協働」は、行政がルールを示し、民がその枠の中で力を発揮する関係でした。
しかし、いま社会から求められているのは、そうした役割分担を越えて、互いの立場を尊重しながら、より良い未来をともに構想していく“協奏”の姿です。

辞め官コンサルタントは、そのきっかけをつくり、官の論理と民の感性が共鳴するための架け橋となります。
制度を守る官業、制度を生かす民業。
両者が互いの意図を理解しようと、互いの調べに耳を澄ませ、奏でる心が共鳴する時――私たちの社会に確かな“協奏”の音が聞こえてくるのです。
🎻 “共奏”―信頼が生む響き
官業と民業の協奏が深まると、意見のすり合わせを越えて互いの中にある理念や志に耳を澄ませ、やがて官民が共に行動する――“共奏”が生まれます。

この「官民共奏」の社会では、官業と民業がそれぞれの旋律を保ちながら、ひとつの社会目的に向かって行動します。
互いのリズムに耳を傾け、主張と歩み寄りを繰り返し、官民が奏でる一つの楽譜を描きます。「できない理由」を探すのではなく、「できる形」を一緒に設計していきます。
実現は簡単なことではありません。ときには、官民に対話の場を整え、両者が持ち味を生かして効果的に社会の中で響き合うよう演出するコンダクターが必要なことがあります。

そのとき適任な存在が、辞め官コンサルタントです‼️
官業に対しては、どうすれば制度の枠を超え、民業を支援して真に住民の利益を実現できるかを求めます。民業には、制度を壁や対立軸としてではなく、社会の信頼を支え民業を守る仕組みとして理解し、活用することを求めていきます。
信頼関係によって“共奏”が広がるとき、官業、民業の双方に、官民の枠を越えた新たな社会の担い手 “CoSymphonists(共奏する主体)” が登場するのです。
公共の利益という“ハーモニー”
公共の利益とは
個人の自由や幸福を抑えるものではなく
それらを支える社会的な条件そのものである。4
(ウィリアム・A・ガルストン)
この章では、官民が“共奏”の段階へ至ったときに共有すべき「公共の利益」(The Common Good)という基本理念について述べていきます。

経済的利益を追求しなければ、企業をはじめとする活動主体が持続することはできません。個人においてもしかり…。
しかし、どんなに大きな企業であっても、またどんなに小さな地域事業者であっても、その活動の根底に「公共の利益を優先する視点」を持つことは重要です。なぜならば、社会の持続と人の幸福を中心に位置づける以上、それは生きるための“呼吸”のようなものだからです。
「公共の利益」は、官業だけが独占的に担う使命ではありません。民業の善意に頼るものでも、社会的義務などでもありません。官民を問わず、個人団体を問わず、社会のすべての活動主体は「公共の利益」という利害を共有しているのです。

「公共の利益」は、官民が自ら行動を縛る規範というよりも、あらゆる社会的活動に“方向”と“意味”を与える基調の音色。そして、辞め官コンサルタントは、官民を問わず「公共の利益」を基盤とする活動を誘発することができる最適の仲介役と言えるでしょう。
官業と民業が、それぞれの力を発揮しながらも、同じ公共の利益を意識して動き始めるとき――そこに、真の「官民共奏社会」= “Symphonic Commons(共奏する公共)” という望ましい未来が見えてきます。
✨結びに代えて:官民が共奏する公共への招待
調和とは、作品に用いられる
あらゆる要素同士の関係が、
均衡し、善いものとなることである。5
(カールハインツ・シュトックハウゼン)
官業と民業が、それぞれの役割を保ちながら、公共の利益という共通の理念のもとに響き合うとき、官民に不可欠なものは調和の精神です。

辞め官コンサルタントは、官民の調和を図るプロフェッショナル。官業と民業を「信頼」と「知恵」でつなぎ、社会に必要不可欠な“ハーモニー”を引き出す最も強力な触媒です。
地域社会も企業も、共に持続的に成長し、地域の課題を協働の力で着実に解決していく――そんな、官民が相互に価値を高め合う社会を実現するために、辞め官コンサルタントは存在しています。

官業と民業が、公共の利益を尊重しながら“共奏”の実践を積み重ねる社会では、企業は安定した市場と社会的信用を得て経済活動を展開し、自治体は持続可能な地域社会づくりを推進することができます。
個人と地域社会は安心と誇りを基盤として、文化や福祉、学びなどの市民活動を活発化させ、人としての幸福を追求していきます。
パートナーシップ・コンサルタンツと、官民が響き合う“共奏”の未来へ――
皆さんが、私たちと共に、その確かな一歩を踏み出されることを、心から願っています。
【用語定義・引用出典】
¹ Co-Symphonists(共奏する主体):官民の境界を越えて、公共の利益を重視しながら行動する主体を表します。“Co”にはCommon(公共・共通)およびCollaborate/Cooperate(協働)の二つの意味を重ねています。
² Symphonic Commons(共奏する公共):多様な主体がそれぞれの役割を発揮しつつ、公共の利益を基点に価値を共に創り出す社会のあり方を表します。“Symphonic” は相互作用と調整の働きを、“Commons” は「価値が共に創られていく仕組み」を指します。
³ リッカルド・ムーティ(Riccardo Muti)イタリアの指揮者。ハーバード大学ノートン講義(2004)より。“An orchestra is the picture of a civil society; everyone has a part to play.”
⁴ ウィリアム・A・ガルストン(William A. Galston)政治学者。Liberal Purposes(1991)。Common Goodの理論を提示。“…the common good consists of the shared purposes that bind citizens together.”
⁵ カールハインツ・シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen)作曲家。講義で語ったとされる有名な言葉。“…harmony means that the relationship between all the elements is balanced.”

