『こうやって勝つ指定管理プロポ』❷
前回に続き、A市が市立福祉系施設の指定管理者を公募プロポーザル方式で選定した事案についての解説です。
公募に応じた医療系社会福祉法人のYが、パートナーシップ・コンサルタンツからどのように指導を受けて、スキルを向上していったか、いよいよ今回から紹介してまいります。
第一段階)法人の意欲、力量、可能性を見極める
Y社会福祉法人は、法人が自ら整備し管理運営する福祉と医療の私立施設を幅広く国内で展開する地力のある法人です。
しかし、公務の業務受託や公共施設の管理運営は未経験で、自治体の求めに応えて公募に応じた経験もありませんでした。
理事長は、そうした官業の分野にも自法人のノウハウやマンパワーで進出し、社会に貢献したいと考え、応募に舵を切ります。
一方、施設を維持管理するスキルはあっても、新しい分野への進出に必要な視野の広さや進取の意欲、業態のゆとりには課題が見受けられました。視野の拡大や意識改革は、支援して引き上げることも可能ですが、現場のゆとりのなさは気になりました。
往々にして意識の高い経営層は、無理難題を現場に強いる傾向が強いもの。そこがギクシャクすると、選考を勝ち抜き指定管理者の指名を受けても、現場が動かずエンドユーザーに迷惑がかる事態を招きかねません。結局は受託者としての評価をも落とすことにつながります。その最悪は、コンサルタントとして絶対に避けなければなりませんでした。
第二段階)スケジュール把握から指導戦略展開へ
そうした事業拡大に課題を抱える事業者様の場合、トップと現場の意識の違いを注意深く見守り、時に応じて助言、進言をおこないます。そのためにも、スケジュール管理は欠かせません。
写真は、このA市のケースで、最初にY社会福祉法人の紹介を受けた際、法人概要のパンフレットが入っていた封筒に、私自身が走り書きした日程のメモです。
聞いた瞬間「募集要項の公表から1か月半か…。」と、ため息が出ました。この社会福祉施設は、全国的にも例が少ない企画。それだけに正直なところ、もう少し時間が欲しいところでした。
しかし、『1ヶ月で書き上げられないなら、半年かけても出来ないですよ!』と、法人を叱咤激励します。
一方で、初めて官業へ進出する法人の提案書のレベルを契約獲得レベルまでどうすれば上げられるか、指導計画を練りました。
次号❸では、実際の指導書類も可能な範囲でお目にかけながら説明してまいります。