『社員まるごと人材開発』①
前回は、ジビエを介して地方(狩猟家)と都市(ビストロ)をつなぎ、結び、活かす取り組みをご紹介しました。
今回は、障害者雇用の拡大を視野に置く人材派遣会社の社長から受けた相談に、経験と人脈を駆使して取り組んだケースをご紹介します。
人材派遣会社X
特色ある優良企業の子会社で人材派遣業を取り扱うX社は、障害者の就労促進に取り組んでいました。
実は、失礼ながら紹介を受けるまでは存じ上げなかった会社です。
ファーストコンタクトは人を介した社長との直接面談。お会いしたところ、社会貢献意欲が高く、企業の使命として障害者の社会進出に取り組みたいという強い信念をお持ちでした。
こういう企業、こういう経営者は、お助けしたい!即断即決で支援決定です。
さて、パートナーシップ・コンサルタンツのコンサルティング契約には、大きく分けて次の3類型があります。
① 1年、3年など期間を定めた包括支援契約
② 案件単位にその終了まで支援を行う不定期な特定事案契約
③ 都度都度で業務内容をお聞きし受託する単発業務支援契約
社長との協議の結果、今回は、社の方針を立てる前の段階であり、案件発生頻度や終期も見えないことから、一回ごとに依頼内容を合意しその都度報酬を見積もる③方式を採用しました。
課題のクローズアップ
一口に『障害者』と言っても、法律上の障害の態様には、身体、知的、精神という三つの区分があります。
俗に「三障害」と言われ、我が国の障害者対策の基本概念を成し、障害者福祉サービスの提供対象を表す区分と言えます。
X社は、障害者の職業的自立を人材派遣の面から支える取り組みを模索していました。とりわけ、これまでのリサーチから、精神障害者へ手を差し伸べるにはどうしたら良いかという問題意識を持っておられました。
ならば… われわれは何をどう支援するべか。
ここからがパートナー・シップコンサルタンツの出番となります。
私のコンサル・プラン
ところで、私はかつて行政の外郭団体に派遣されていたことがあります。障害者を集団で雇用し、民間への就労も斡旋する障害者就労のための非営利の事業体で事務局長を務めていました。
X社がコンサルティングを求めてきた方向と極めて近い仕事をしたことがあるのですから、運命を感じ使命感を覚えました。ただし相手は営利企業です。行政サイドの知識だけを得ても目的は達成できないことは明白でした。
そこで、知見深き人々との面談を重ね理念と知識を次々と得ることで、段階的に社内の有意な人材を社会的な人財とするインタビュー戦略を組み立てました。
まず、❶公務員経験者である私がX社の悩みを聞いて課題全体を包括的に整理し方向づけを提案します。
次に❷行政の障害者福祉部門で現職幹部に会い、障害者雇用促進の課題と民間事業者が行う就労支援に期待することなどの本音を聞き出します。
続いて、仕上げの3連続インタビューです。
❸障害者サービスを提供する福祉法人のカリスマ、❹障害者の就労比率を達成している企業の採用責任者、最後に❺何でもお見通しの障害者福祉分野のゴッドマザー
この後半で行う3連続インタビューを今回のコンサルンティングプランの核心と位置づけました。
(👉次号②につづく)