コーディネートサンプル集❸ 🏞Glamping🏕
3号サンプルは、最近トレンディな宿泊業態の『グランピング』です。
どのような視点から提案事業者を支え、自治体との関係をつなぎ結んで、指名を獲得していったかお話ししましょう。
なお今回も、地域名、自治体名、事業者様名ともにマスキングとなること、お許しください。
公有地でグランピング
さて、今は市民権を得ている『グランピング』という言葉。元はといえば、イギリスで2005年ごろから使われ始めたそうです。Glamorous:グラマラス(魅惑的な)とCamping:キャンピングを一つにした造語です。
クライアントである住宅開発系企業のM社は、このトレンドに着目し国内展開を計画。
イニシャルコストをおさえるため、ターゲットを公有地に絞り、手はじめに、山間部に広大な自然公園(市有地)と遊休地を抱えるP市をターゲットに定めます。
目標は、P市から安価でグランピング用地を長期借用すること、自社による施設整備、そして管理運営権の獲得です。M社の視線の先には、P市での成果を他の市町村へ展開すること、つまり全国展開を狙っていることは明白でした。
一方、シティセールスや観光といった地域活性化の視点、市民の誇りを創造する観点から、私たちパートナーシップ・コンサルタンツのめざす『エンドユーザーの幸福』と一致するニオイも強く感じられました。
オーダーは自治体関係ヘルプ
長年勤めた自治体で、市民保養施設を担当する組織の部長をした経験はありました。しかし自治体の役割は、収支や施設の管理運営状況を点検する監督者の立場です。
宿泊業務は電鉄系のホテル運営会社である指定管理者に任せていたし、ましてや今回はグランピングというトレンディな宿泊業態。前回サンプルの病院以上に不安が先に立ちます。
クライアントのM社は、そのことを承知で支援の依頼をかけてきました。
初対面で取締役から伺ったところ、依頼の趣旨は会社が自治体と話し合う場への同席、地元関係者や団体に配慮したアドバイス、企業では想定できない自治体の姿勢への対応などなど、熱い思いが噴出します。
民間受託を中心に建築ハード系を主軸にしてきたM社は、P市との関係に手詰まり感を感じ、もともと自治体への苦手意識があったことも手伝って、パートナーシップコンサルタンツへのオーダーとなりました。
要請は多岐に渡る気配です。センスと行政経験が期待されての要請とわかって気分は上がり、頼まれたからには整えますか❗️と受託を決めます。
奥ゆかしさで苦手解消⁉️
自治体との関係を円滑化するコンサルタントとして活動することは決まりました。
もともとこの案件、M社がP市へ営業する中で提案し注目された持ち込みプランです。しかし、他にもスポーツ施設や私立学校など有力な企画がN社やO社からも提案されていました。
手段は一つ。企業収益を大前提としながら、M社の企画をP市が望む方向へすり合わせていくことにつきます。
獲得への意欲と姿勢を押し付けがましくなく誠実に見せていくことこそが、自治体から信頼、信用を得ることにつながると肌で知っている私たち。
しかし、厳しい市場経済の戦いを勝ち抜いてきた企業の皆様には、この『奥ゆかしい態度』は、ご理解いただけないことの一つでもあります。
自治体に対する姿勢、態度、言葉遣いなども、得意とするコンサルティングの一つ。丁寧に指導を重ねます。
どう整えたのかストーリー
とはいえ、課題と解決策を細部にわたって明かすことはできません。
ざっと思い起こすと次のようなことに関して、アドバイス、コーディネート、ネゴシエートを繰り返していきました。
M社が指名を得るにはどのような手法があるのか
P市の決定手順が不明かつ複雑でわからない
P市の担当職員が否定する裏の意味は何か
政治勢力や関係者に、どう配慮すれば良いのか
反対者はやわらぐのか、賛成者は増やせるか
市有財産(土地)を安価に借りる手法はあるか
私たちの役割は、検討の回数を重ねるたびに重要性を増していきます。新幹線に乗ってP市の担当部門とのミーティングに、毎週顔を出すこともありました。
そこで繰り返したことは単純なことです。M社の利益を損なうことなく、最大限にP市とP市民の利益を追求することでした。
そのために、次の三つの役割を繰り返し果たしていきました。
① M社とP市による検討の場に同席する
② M社とP市の意向をそれぞれ通訳する
③ 検討会後、M社に改善への道筋を示す
特に、自治体の立場をM社に理解させること、そのうえで双方が歩み寄れそうな修正をM社に助言し、次回検討で提案させることは、契約獲得のために重要でした。
こうしてM社はP市と業務委託契約を結び、市有地におけるグランピングを中核とした公園改善の骨格が固まります。最初の相談から数えて約1年が経っていました。
千里の道も一歩から
古臭い表現👆ですみません。今回のコーディネートサンプルを総括すると、こんな表現になります。
M社にとっては、気の遠くなるほどの道のりに見えたP市との交渉。しかし、パートナーシップ・コンサルタンツのドアを開き、その一歩を踏み出したことから、官業苦手意識から解放され新しい未来がひらけたのです。
現在、M社はP市と重ねた経験値を官業対応のノウハウとして蓄積し、他のエリアでのグランピングにも乗り出しています。
パートナーシップ・コンサルタンツは、自治体との検討、調整に関与して成果をあげるだけでなく、適切な助言を通じて、法人社員が官業に強みを発揮できるように、その能力開発にも取り組みます。
自治体との関係に苦手意識がある、交渉に手詰まりを感じるなど、関係構築や意思疎通などに問題を抱えておられる事業者様、まずはご相談ください❗️