活動リポート!関西近畿編
湯河原で都市公園のヒントを得た旅の後は、さらに西へ向かいました。
旅の目的は、関西のラグジュアリーホテルのフレンチレストランへ山海の食材を提案するための調査です。
7月には中部地方へ。山間部の野菜、果実、棚田米、ジビエ、川魚、酒などを求めて、ホテルダイニングのスタッフをお連れしたばかり。
その時、次の機会があれば、現地へお連れする前に自ら事前調査をする必要があると思いました。
狙いを定めたのは畿内にある某自治体の食材です。
市内に2泊。一日は食材調査にあて、もう一日で歴史探訪と市の公共施設を視察する目的で、日程を組みました。
近畿入りする前に、食材を提案する先のラグジュアリーホテルへ希望をうかがうために関西を訪れます。下調べ。これはコンサルタントとして重要な第一歩です。
あっちこっち 〜施主に逢う関西の夜
提案先のホテルは、新型コロナウイルスの感染拡大期に果敢にも開業した我が国最高峰のホテルです。国際的ホテルのラグジュアリーブランドにも位置づけられ、ホテルダイニングに、我が国有数のシェフ歴任者を揃えています。
完璧に行程を組んだ7月の中部ツアーに続いて、半端な対応はできないと緊張感が高まりました。予約した時間ちょうどに、ディナーの席に着きます。
次々と提供されるのは、味覚だけでなく視覚も楽しませ、一つひとつの食器にも深い思いを込められた料理の数々。いつも話の弾むシェフから、食材の由来や料理の趣旨を伺っていると時間を忘れてしまいそうです。
しかし、今夜中に畿内入りしなければ、明日の食材リサーチの開始に間に合いません。ディナーを堪能しつつも、目的地へ向かう特急の時間が気になります。
味わいながら、シェフから近畿圏の食材への期待を聴きはじめました。
土地ならではのフルーツ、牛や鴨やジビエ、海の幸など、生産者との話も併せて聞きたいとのオーダーを仕入れました。
いつもならば3時間くらいかかるところ、2時間少しでデザートを終えます。名残惜しくはありましたが、年明けにはホテルスタッフと訪問できる感触をつかんだので、思い切って、活況の戻ってきたダイニングカウンターを後にしました。
待たせておいたタクシーでJR駅へ。在来線、メトロと乗り継ぎ、特急列車で目的地の駅に着いたのは22時過ぎでした。
駆け足の夜間移動。それもこれも、当地での時間が中心となる今回の食材リサーチツアーのためです。ホテルの意向を踏まえた明日の市内生産者訪問に期待が膨らみました。
あっちこっち 〜近畿の食材リサーチ
訪問先は市街地が形成され都市化はしていますが、一級河川が海へ注ぎ、緑豊かな山あいの農地と牧草地を抱えた山海の食の宝庫でもあります。
実は、私が官業を退く数年前、友好都市関係を結んだ縁ある自治体。
当時、大宴会で美酒美食三昧を経験したこと、経営層に知り合いができていたことなどから、今回の訪問候補地となりました。
ホテルスタッフから、海も山もある当地の魅力が評価され、営業トーク(?)の力もあって、リサーチ対象となったわけです。
朝、市庁舎に集合。市に派遣されている飲食情報配信企業の皆さんとのミーティングから始まりました。
名刺交換をしてわかったのですが、この会社は食と観光に特化した組織を構え、当自治体への派遣には幹部社員を含め複数体制で臨んでいます。
MTG冒頭から、プロフェッショナルな食に関わる知見と、生産者との関係づくりに基づいた具体的な提案を伺うことができました。いやがおうでも、今日のリサーチツアーへの期待が高まります。
直後の市場への訪問では、てっきり魚介類のみと思って訪れた私の期待を良い意味で裏切ってくれました。
食肉を含めた幅広い取り扱い品目、東京都心のたくさんのミシュラン店舗から買付けを受けている実態には、まずもって驚かされます。
そのうえ、食材の陸送に関わる問題意識(2024年問題)から鋭い改革の提案を伺うことになりました。かつて公務員の私、思わず「微力ながら国政へつなぐルートを」とお約束するハメになりました。(帰京してから既に進行中!)
その後、グランピングのたね地を視察した後、豊富な野菜、フルーツなど一次産品の宝庫であることを道の駅で体感させていただきました。
ハイライトはミートファクトリーです。
A4、A5ランク、赤みが絶品などなどご当地産の牛にこだわり、安定的に供給することを目指しています。
また、環境配慮への熱い思いを社長自らご説明いただきました。
◉ 鹿や猪を学校給食に供給するジビエの取り組み
◉ 飼料に柑橘類の残さを活用する取り組み
ファクトリーでは、牧草にこだわった牛の放牧地を確保し市内4カ所に展開されています。
徹底した管理で安定的に安全な食肉を提供しようとする姿勢が、言葉の端々から伝わってきました。
着地点はあのホテル
関西近畿食材リサーチの旅はこうして幕を閉じましたが、まだまだ漁港や牧場、農場への訪問などは課題として残りました。
この旅の目的は、関西圏のラグジュアリーホテルへの食材ハンティング。明くる年、ホテルダイニングのスタッフを当地へいざなうことで結実します。
自治体、HOTEL、飲食情報企業、パートナーシップ・コンサルタンツの四者の力を結集し、必ず実現したいと決意しました。
そのためには、新しい取り組みも不可欠となります。朝どれの食材を午前中の列車に乗せ冷蔵のまま午後にはホテルの厨房に並べるという、かつてないシステムを構築する挑戦。
すべては、消費者の食の幸せのために。
皆様、関西圏を訪れる時には、こんな取り組みのことを思い起こしてくだされば幸いです。
数年後、ホテルダイニングのテーブルが、畿内ご当地産の食材でいろどられる日を願めざして食の活動はまだつづきます❣️