『こうやって勝つ指定管理プロポ』❸
いよいよ社会福祉法人Yへの直接指導に入っていきます。
第三段階)指導戦略:短期決戦を支えるのは『休息』

理事長との意見交換で始まった本件ですが、トップとの直接会談は、よほどの緊急事態に限られます。多くの場合、担当の幹部と担当者のペアを相手とするやりとりとなります。
時間を有効活用しながら的確に指導する。
言葉にすれば簡単ですが、与えられた時間が少ない中で全うするのは容易なことではありません。
通常は、経営層が社員を叱咤、時間外労働を繰り返させ、ときには管理監督職が自ら作業を分担する…そんなシーンが思い浮かびます。
労働工程に関わる科学的な実験と分析によれば、社員のゆとりを生む指導こそが生産性をあげ、望ましい結果につながるとされています。一方、いずれの企業も法人も、自治体発の公募案件に今後も参入する意欲は高く、今や公募書類の作成を通じた社員育成と能力開発は、法人発展に必要不可欠な人事管理の手法と位置づけられています。
そこで、作業効率を上げ能力アップを図るための措置として、法人の勤務時間中は、主に担当職員の作業時間にあて、夜間休日を含む時間外は私の作業時間にあてることを基本的な業務サイクルとしました。
指導される側とする側が、交互に頭を休め手を休める時間を作りだす。これは、休息なしには良い発想も良い表現もでてこないし、飛び抜けた発想も浮かばないという私の長い勤務経験からの信念に基づく工程管理の手法です。
第四段階)指導戦略:肝腎要は『初動修正』
次に、はじめて仕事を共にするY法人の力量がどの程度なのか、修正に動き出す前(初動段階)でおさえることにしました。
書類のレベルを見極めることは、こうしたコンサルティング、アドバイジングの初動期に不可欠のスキルです。
私は、政策リーフレット、議案の説明資料や住民説明会用パワーポイントづくりなどで、市民に訴えかける言葉の使い方や視覚表現などに習熟しています。そのうえ、行政サイドが好む表現に至っては、どんなコンサルタントよりも自信があります。

まず法人へ連絡し、書きかけや白紙の様式があっても良いので、現時点で担当が取り組んでいる全様式をデータで送るよう要請しました。
幾度となく業者選考を取り仕切り、何度も選考委員を務めてきたので、資料の読み込みは慣れています。加えて、選考委員が熟読せずに斜め読みするポイントにも精通(?)しています。数十ページの様式でしたが、30分程度で読み込みを終えました。
読み終えた最初の印象は大切です。忘れないうちに荒い指示をメモに書き出し、これをスクリーンショットデータで送り返しました。そのとき法人へ送信した内容が写真のとおり、A4版5枚の指示書です。
法人と私は、短くて遠い企画提案書提出への道に向けてスタートラインに立ちました。ここから修正作業を加速していきます。