素敵な『霞が関文学』Final
4月以来のご無沙汰です。
今回『霞ヶ関文学特集』の締めは、実際に扱ったある伝統音楽文化団体からの国への要請です。さっそく始めましょう‼️
⚠️内容と整合しない写真を一部使用しています。
【 大前提 NG話し言葉 】
自治体や国に対する要望書や申請書類を提出するときに、配慮が必要なことはいくつかあります。
中でも重要な配慮は、話し言葉を使わないこと。
「やっぱり」「すごく」「困ってます」「こんな感じで」「してもらいたい」…
私のもとには、企業、法人、個人を問わず、こういった日常会話の表現で説明文や申請書原案が送られてくること、しばしばです。
これらを公的な表現形式に変換するには、受け取る側の公務員のツボにはまる表現に変える技が求められます。
お近くの行政書士事務所などで相談されるのも良いですし、公務員経験者を頼ると、何かと役に立っていただけるかもしれませんね。要は、霞ヶ関文学を知っている人を探せば良いのです。
今回は、皆さんの参考にしていただくため、ごく最近に仕上げた霞ヶ関文学変換の成功事例をご紹介します‼️
【 Before 事情聴取 】
ある伝統音楽文化の関連団体が、パートナーシップ・コンサルタンツを頼ってこられました。
あらゆるクライアントに対して初期動作は、まず『聴くこと』から。
次の記事は、3時間以上の意見交換の中で、その代表理事と事務局長からうかがった内容です。歴史的経緯、団体の設立から始まって、実に多くの思いが語られました。その一部をまとめたものです。
● 団体代表からの聞き取り
子どもたちって、文化芸術の発展にすっごく大切な宝なんです。日本の伝統音楽文化の習い事に通っている子たちには、みんなで集まって、和気あいあいとしながら競い合って、未来の日本の伝統音楽界や舞踊界で活躍してほしい。元々それぞれ近しい存在で合同演奏会なんかはよくやるけれど、一堂に会するコンクールが実現すれば、日本で初めてなんです。たとえばこんな感じで呼びかけたい。『お稽古頑張ってる人集まれ! お稽古が大好きな子たちのためのコンクールをやるよー! 楽器や歌、踊りは、何でもいい 決められた時間の中で力いっぱい頑張る君を応援するよ! 日本初のコンクール、ワクワク楽しみだね!』
だから、私のひらめきは、ジャンルの壁、地域の壁をなくすだけではなくて、全国的からさらに世界に目を向けて行う、カンヌ映画祭みたいな国際的なコンクール。でも、そういうことをするのに、国や県庁や市役所の応援をどう頼んだらいいのかわかりません。もちろん、場所も、宣伝も、お金も必要ですけど、それより偉いお役所さんがこのコンクールを応援している!ってポスターやホームページに大々的に出したい。でも、どうすればいいのかわからないし、どんなふうに書類を書けばいいのか、全くわからないんです。なんとかならないですか?
2022年12月 某ラウンジにて
ここまで聞けば、私どもの役割が見えてきます。
お気持ちを生かして、要望書と企画書づくりをご指導し、実現したい夢を文章化して国や県や市へ届けるのみ!
成果は、関係省庁や都道府県、市町村に申請し、「共催」「協力」や「後援」などの表示を許可してもらうこと。
つまり、提出する文書の力によって、官公庁がイベント(主催者)を支援するように誘導します。
霞ヶ関文学変換への下地は整いました。
【 After 創作文例 】
今回の事例、まずは省庁に対して『◯◯省後援』を認めるように求める申請ケース。官公庁が納得のいく開催趣旨や具体性のある企画書となるように、文章化を請け負いました。
そのまま紹介することはできませんが、省庁を突き動かす申請書類の中でも核心となった ❶イベントの趣旨文書 ❷イベント開催企画書の冒頭部分の順にご披露します。
❶ 趣旨の宣言 / 拡張高く思いを宣言する
歌うことと踊ることは、元来、人間がDNAレベルで備えている資質の一つです。そして、いつの時代も、どの国にいても、どのジャンルであっても、その担い手(演じ、鑑賞し、支える人たち)の継続的育成が不可欠です。
全ての年代にわたって担い手が存在する必要があり、とりわけ若い世代での継続性は重要です。
そして、幼少期から青年に至る世代で、演じ、鑑賞し、支える主体を育成することは、官民を問わず私たち成人の責任です。
X省やY庁が主導して、さまざまな教育の機会や生涯学習の場をとらえて粘り強く担い手の育成が続けられてきました。
しかし、演者だけでなく、指導者や楽器製造者、場所の提供者などの減少、これらに伴う観客と鑑賞機会の減少により、継承と発展への道のりは未だ険しい状況にあります。
さらに、新型コロナウイルスの影響による鑑賞機会、演奏・演舞機会の減少が、担い手の減少に拍車をかけています。
私たち◯◯文化コミュニティ団体は、日本が国をあげて深刻なウイルス禍から脱しようとする令和5年を、歌と踊りの発展を後世につなぎ、生きた文化としてより一層飛躍を図る転機と捉えました。
演者、鑑賞者、支え手が一体となって、すべての子ども達へ発信する新たな取り組み『ジュニアコンクール』を別紙計画書のとおり開催することといたします。
❷ 企画書冒頭 / 具体的表現で決意を表明する
このコンクールは、日本の伝統音楽と伝統舞踊を自ら学び、演じ、同世代の姿を鑑賞することのできる機会を子ども達に提供するものです。
次世代の子ども達が、日本の伝統音楽文化に直接触れる貴重な機会を毎年度継続的に提供することによって、演者、鑑賞者、支え手の育成につなぎ、未来に向かって伝統音楽文化が受け継がれていく礎(いしずえ)となることを目指し、ジャンルの枠を越えて開催いたします。
邦楽邦舞の文化芸術活動は、互いに影響し合い共感と敬意を抱きながら、ジャンルを超えた様々な組み合わせにも挑戦してまいりました。
こうした日本伝統文化の原点に立ち返り、明日を担う様々な可能性を持った若き人材が、和気あいあいと一同に集い、互いに切磋琢磨する機会は、邦楽邦舞がさらなる発展を遂げる転機となると確信しております。
さらに、開催自治体となるX県Z市の地域特性を生かし、大使館、インターナショナルスクール、外資系企業、国際交流関係団体などと協力して、我が国を代表する国際色豊かな一大コンクールに育てることで、その魅力を世界へ発信する魁(さきがけ)の役割を担って参ります。
✒︎ 素敵な『霞が関文学』 これにて終章🖋️